「美しき青きドナウ」は、カラヤン指揮ベルリンフィル盤でなければならない

何の予備知識もなく映画2001年宇宙の旅を観た方なら「なぜ?」と一瞬思ったシーンではないだろうか(小説でいうなら第1部から第2部への移行場面である)。

ヒトザルが勝ち誇って空高く投げあげた武器としての骨を、テクノロジーの産物である宇宙船(進化した武器ともいえる)と重ねた有名なシーンだが、ことほどさようにキューブリックの映画に出てくる物の形には、テーマに直結する深い意味が隠されていて興味深い。(※1)

それでは音楽について見てみよう。ヒトザルの投げた骨が宇宙船に重なる場面で演奏されているのはヨハンシュトラウスの「美しく青きドナウ」だが、これは絶対に、カラヤン指揮のベルリンフィル盤でなくてはならない(もちろん映画内で使われたのはこの盤だが)。なぜなら、曲の出だしの「弱音」が「とてもいい感じ」に演奏されているからだ(※2)。「とてもいい感じ」を具体的に言葉で表現することは難しいけれど、とても意味のある出だしなのである。



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(※1) 精子を模したディスカバリー号の奇妙な形も、本作品のテーマである新人類の誕生を予言しているといえる。

(※2) 「ツァラトゥストラはかく語りき(冒頭の導入部分)」についても同様のことがいえる。デッカ盤(カラヤン指揮・ウィーンフィル演奏)にのみ認められる低音の音響効果がこの映画の「不気味さ」の演出に一役買っている。

(※x) 2001年宇宙の旅の再上映は1978年(昭和53年)にテアトル東京(シネラマ方式の大画面が売り)で観たことが判明。ちなみに、同映画館は2001年宇宙の旅の初上映も1968年(昭和43年)4月に行っている。テアトル東京、なぜ潰れてしまったのか、、、

参考
2001年宇宙の旅 (早川書房) 2010年宇宙の旅 (早川書房) 2001 A Space Odyssey (Paperback) 2010 Odyssey Two (Paperback) 2001 A Space Odyssey (MGM) 2010 Odyssey Two (MGM.UA) Script: Internet Resource Archive (*) 2001年宇宙の旅 (早川書房) より引用 (**) 2010年宇宙の旅 (早川書房) より引用

Writer: Masaakix Web site: http://www.masaakix.interlink.or.jp/

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