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サウンド・トラック ZARATHUSTRA

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曲名:ツァラトゥストラはかく語りき(冒頭部分)
作曲:リヒャルト・シュトラウス
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ※(実際はウィーン・フィルハーモニー???)
指揮:カール・ベーム
 ※(実際はヘルベルト・フォン・カラヤン???)
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Music: Also Sprach Zarathustra
Composer: Richard Strauss
Orchestra: The Berlin Philharmonic Orchestra
 ※(The Vienna Philharmonic Orchestra???)
Conductor: Karl Bohm
 ※(Herbert Von Karajan???)

映画のエンド・クレジットでは「2001年宇宙の旅」で使われた「ツァラトゥストラはかく語りき(冒頭の導入部)」は、「カール・ベーム指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏」とされている。 曲名のみで演奏者等は伏せられている。(※1)



ただ、たとえそのクレジットが間違っていたとしても、これはもはやどうしようもないことだろう。映画公開後に発売された新聞・雑誌・書籍・レコード・CD・DVD、、、などの大半は(その事実を知っていたかどうかは別にしても)このクレジット通りに書かざるを得なかったはずである。そして筆者にしても、いまさら映画で使われた曲の演奏者を特定して間違いを是正させようなどとは全く考えていない(そんな能力も人脈もない)。「2001年宇宙の旅」のファンの一人として、事実及びその経緯を知りたいだけなのだ。



まずは、手元にある資料から調べてみることにしよう。

前回のリバイバル上映(1978年=昭和53年)時に今はなきテアトル東京で購入したパンフレット(東宝)には「カール・ベーム指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏」としっかり書かれている。次に、ビデオとDVDの「2001年宇宙の旅」を「聴き比べてみる」。のっけから鳴り響く「ツァラトゥストラはかく語りき(冒頭の導入部)」は両メディアとも全く同じ演奏であり、テンポ・内容・印象等の違いも全くなかった(当然である)。問題は、これらの演奏が誰の指揮によって、どの管弦楽団で演奏されたのかということだ。

その他所有しているものとしては、「2001年宇宙の旅」のサウンド・トラックであるMGMレコード(発売元ポリドール株式会社)の「2001 a space odyssey(Sound Track)」と、同じくMGMレコード(発売元ポリドール株式会社)の「2001 SPACE ODYSSEY Volume Two(Sound Track)」があるが、そのどちらにも「ツァラトゥストラはかく語りき(冒頭・導入部)」については、「カール・ベーム指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏」と書かれている。

「そのあたりの事情」を知るために、発売元のポリドールに電話で尋ねることにした。実はポリドール株式会社は昨年(?)ユニバーサルミュージック(universal-music)に社名変更しているので、そこのインターナショナル部門に尋ねることにする。上述のサウンド・トラック版レコードの記述(指揮者、管弦楽団名)について話してみたところ、「そのような古いものについてはなんとも言えない」と言われ苦笑いしながら電話を切った。



その後、ビジターの たけやん氏 に教えていただいた「リーダーズ・チョイス -私の愛聴版- 読者が選ぶ名盤名曲100」の内容について音楽の友社に電話で尋ねることにした。

あいにく担当者が不在ということで暫くしてから再度電話すると、またしても「担当の者がいないから明日の午後かけてくれ」と言われたが、こちらも結構忙しい身なので、電話に出たかたに直接切り出してみる。リーダーズ・チョイスのこの解説を書かれたご本人(※2)ではないので詳細は語ってもらえなかったが、「もしも演奏者等の表記が間違っていても、今となってはそれに従うしかないでしょう」のような趣旨のことを言われた(やはりそうなるのか)。

「リーダーズ・チョイス -私の愛聴版- 読者が選ぶ名盤名曲100」には「実際は、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏だった」 旨が(断定的ではないにせよ)「・・・といわれる。」という書き方で解説されている。その部分の引用については了解がとれなかったのでここに載せることは出来ないが、興味のあるかたは購入するなり立ち読みするなりしてほしい(余りほめられないが)。

ビジターの たけやん氏 に教えていただいたもう一つの情報源として、1951年〜1996年までに収録された、異なる指揮者(14人)、異なる管弦楽団(11のオーケストラ)による「ツァラトゥストラはかく語りき(冒頭・導入部)」だけを集めたCD(「2001:SOUND ODYSSEY」/CD:UCCD-3019)がある。

この中には、もちろん問題の2つが入っている。「カール・ベーム指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏 /1958年4月 DG盤」 と 「ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏 /1959年3月 DECCA盤(デッカ・レコード録音盤)」 である。たけやん氏 によると 映画 2001年宇宙の旅 で使われたのは間違いなく後者だそうだ。



なお、ユニバーサルミュージックのサイトに行けば2つのうちの 「カール・ベーム指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏 /1958年4月収録」 がリアルオーディオ(Real Audio)で試聴できるので(一覧表から 2001 SOUND ODYSSEY をクリック)、聴ける環境のかたは、それと、ビデオやDVDの「2001年宇宙の旅」とを聴き比べてみるのも面白いかもしれない。



結論(後日編集)。

・ 「映画 2001年宇宙の旅」で実際に使われた「ツァラトゥストラはかく語りき」は・・・「ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏/1959年3月 DECCA盤(デッカ・レコード録音盤)」

・ 「映画 2001年宇宙の旅のサウンド・トラック(MGMレコード)」に収録されている「ツァラトゥストラはかく語りき」は・・・「カール・ベーム指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏 /1958年4月 DG盤」

・ これらを実際に聴き比べてみると印象が少々違う。デッカ盤にのみ認められる低音の音響効果が効いているのである。映画鑑賞時に受けた「不気味さ」は、やはり、この響き渡る低音の音響効果だったのではないだろうか。



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(※1) デッカ盤の演奏を映画で使用するに際して、デッカ側が、映画のクレジットで演奏者名を表示しないことを許諾条件としていたようだ。

(※2) 翌日、音楽の友社に電話したところ、この解説を書かれた担当者は既に退職してしまっているとのこと。これ以上追求するのは諦めることにした。

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2001年宇宙の旅 (早川書房) 2010年宇宙の旅 (早川書房) 2001 A Space Odyssey (Paperback) 2010 Odyssey Two (Paperback) 2001 A Space Odyssey (MGM) 2010 Odyssey Two (MGM.UA) Script: Internet Resource Archive 「リーダーズ・チョイス -私の愛聴版- 読者が選ぶ名盤名曲100」(音楽の友社) 2001 a space odyssey-Sound Track(MGMレコード) 2001 SPACE ODYSSEY Volume Two-Sound Track(MGMレコード) 「2001年宇宙の旅」パンフレット(1978年=昭和53年度版/東宝) ビジター(たけやん氏)からのメール

Writer: Masaakix Web site: http://masaakix.interlink.or.jp/index.html

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