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__ | Galileo's Gravity Experiment ,Apollo 15 Experiment | __ | ![]() |
David R. Scott Apollo-15 Mission Commander |
右手のハンマーと左手の羽根 (Falcon/タカの羽根) を同じ高さから同時に落下させて、ガリレオ・ガリレイの 「落体の法則」 を月表面上で実証した有名な実験。およそ160cm (120cm?) の高さから落下させたハンマー (長さ39cm/重さ1.32kg) と羽根 (重さ0.03kg) は、当然のごとく、同時に着地し実験は成功した。実験者はデービッド・スコット船長。なお、この実験の模様は月面車 (LRV /Lunar Roving Vehicle) にマウントされていたTVカメラ (RCA Color Television Camera) で撮影されている。 この実験を、突発的に行われたユーモラスなデモンストレーションととらえるむきもあるが、実は、この実験は事前に計画されたもので、「月表面上に空気抵抗 (大気) が無いこと及び実験の場が地球上ではない (月面上である) こと」 を証明する確固たる意義・意図を含んでいたのだ。 さらに付け加えよう。 「およそ160cmの高さから落下させた」 の評価をめぐって、その検証の過程で、月表面上の重力加速度の領域にまで踏み込むことが可能なのだ。 例えば、「およそ160cmの高さというのは誤りで実際は120cm程度だった」 とするある人物の検証過程を追ってみよう。 まず彼は、(1)実験者の身長、(2)宇宙服及びPLSS (宇宙服の背中に背負う生命維持装置) のサイズ・仕組み・機能 (腕が水平の位置まで曲げられるか否か等)、(3)ハンマーのサイズ及び落下・着地時の状態 (ヘッドが下だったか否か等) などの要素と、(4)TVカメラ映像 (Mpeg clip) 中の着地までのフレーム数 (フレームレートも含む) という要素を絡めた上で、月表面上の重力加速度 (120cmの高さだったなら=167cm/s2、113cmの高さだったなら=157cm/s2) を算出し、それらを既知の月表面上の重力加速度 (約163cm/s2) と対比させたのである。 これら、「167cm/s2、157cm/s2」という値は、落下させた高さの評価に誤差があることを差し引いても、既知の月表面上の重力加速度 「約163cm/s2」 に接近しているのだ。 ご承知のように地球表面上の重力加速度は 約980cm/s2 であるから、彼が、アポロ15号ミッションで撮影されたTVカメラ映像上で確認した月表面上の重力加速度 「167cm/s2、157cm/s2」 は、地球表面上の重力加速度のおよそ六分の一だったといえよう。 |
David R. Scott Apollo-15 Mission Commander (foreground) / LM and MESA (background) |
当時、この実験の模様はTV中継された。背後に見えているのはLM (月着陸船) で、MESA (Modularized Equipment Stowage Assembly /TVカメラ、レンズ、ハンマー、シャベルなどを収容してモジュール化された装備 /LMのラダーの左横=ちょうど脚と脚との中間に備わっている) が確認できる。 |
Hammer and Feather (falcon) and MESA (upside) -- Galileo's Gravity Experiment /Apollo-15 EVA-3 |
実験で使用されたハンマーと羽根のクローズアップ画像である。イメージ上部には MESA (Modularized Equipment Stowage Assembly /TVカメラ、レンズ、ハンマー、シャベルなどを収容してモジュール化された装備 /LMのラダーの左横=ちょうど脚と脚との中間に備わっている) の一部が見えている。 なお、実験で使われたタカの羽根の 「タカ」 は Hawk ではなく戦闘的なイメージのある Falcon と表記されるが、これは、この 「実験道具」 自体が米空軍士官学校に由来することから当然ではある (同校のマスコットは Falcon / 米軍の空対空ミサイルの名称も Falcon / 当該ミッションの月着陸船の名前も Falcon)。 ←ことほどさように、アポロ計画に関わる「もの」の名称はある種のキーワードとなることが多い。 |
▲ End of GALILEO'S GRAVITY EXPERIMENT ▲