__ | Aristarchus plateau and Cobra's Head Apollo 15 | __ |
Aristarchus Crater and Herodotus Crater, Vallis Schroteri, Cobra's Head, Oceanus Procellarum |
上のイメージは、嵐の大洋 (Ocean of Storms=Oceanus Procellarum /月最大の海) に位置するアリスタルコス高原をとらえている。大きな二つのクレーターは、左が直径約40kmのアリスタルコス・クレーター (Aristarchus Crater /23.7N,47.4W)、右が直径約35kmのヘロドトス・クレーター (Herodotus Crater /23.2N,49.7W) である。それらクレーターの中間辺りから始まる裂溝のような蛇行した谷の連なりがシュレーター谷 (Vallis Schroteri /26N,51W /全長約160km) で、その上端部分 (南側) はコブラの頭のような不気味な地形 (コブラ・ヘッド /Cobra's Head) を月面に刻んでいる。SM (機械船) にマウントされた SIM によって得られたマルチ・スペクトラル・イメージ (分光写真) は、このエリアが地質学的にみて非常に複雑であることを証明した。 |
Aristarchus Crater and Cobra's Head, Prinz, Prinz Rimae, Oceanus Procellarum |
上のイメージも、同じく白く輝くアリスタルコス・クレーターをイメージ右斜め上にとらえている。アリスタルコスの右にはヘロドトス・クレーターが、左斜め下にはクレーターが欠けたような地形が独特のプリンツ (Prinz /直径47km /25.5N,44.1W) が見えている。 光条システムのほぼ中心に位置しているアリスタルコス・クレーターは注目すべき存在だ。 1963年10月29日、米国 (アリゾナ) のローエル天文台はアリスタルコス・クレーターの周辺 (外輪山などの数カ所) に赤い灯がともっているのを発見する。 同天文台は、翌月 (1963年11月27日) にもこの現象を目撃するが、この時は、他の複数の天文台がこの現象を確認している。月面上ではこのような自然現象 (TLP /Transient Lunar Phenomena) が度々観測されているが、この若い (約4億5000万年前にできた) アリスタルコス・クレーターでは発光現象 (白く光る) や 火山現象 (赤く光る) 、あるいは、かすみ・もや (ガスの噴出か?) をはじめとする一時的な自然現象が時々認められ、そのTLP件数はトータル220件を優に超えているのである。 なお、TLPに関してはアポロ12号で観測・撮影された アルフォンスス・クレーター (Alphonsus Crater /13.7S,3.2W /直径約108km) も参照されたし。 1958年11月3日にクリミヤ天文台 (旧ソ連) が発表した 「アルフォンスス・クレーターからガスが噴出している (撮影されたスペクトル写真には炭素分子の吸収帯が認められた)」 との観測結果こそが TLP という概念を世に広めるきっかけとなったからである。 - - - - - |
Aristarchus and Herodotus, Vallis Schroteri, Cobra's Head, Herodotus ω =Dome, Oceanus Procellarum Apollo-15 Top | Aristarchus area(1) | Aristarchus area(2) | Aristarchus area(3) | Hubble Space Telescope |
上のイメージは、別角度からとらえられたアリスタルコスとヘロドトスを含むエリアである。 両クレーターに混じって右上の方向にドーム (ヘロドトス・オメガ /Herodotus ω) がはっきりと写っている。 ドームの頂きに見える黒点のようなものは極小のクレーターと思われる。 ドームは月の火山活動に起因する地形と考えられているが、クレーターとは異なり、総じて規模が小さいが故に見つけにくい。イメージ最下端中央に伸びる壁のような地形はトスカネリ壁 (Rupes Toscanelli /長さ:70km /27N,47W) と呼ばれる断層だ。 |
▲ End of Aristarchus plateau and Cobra's Head Apollo 15 ▲