__ | G-ray Titanium Apollo 15 Experiment +Hubble Space Telescope | __ |
Gamma-ray Spectrometer Experiment (分光計にてガンマ線を計測), Titanium, SIM (Scientific Instrument Module), Apollo-15 Experiment |
宇宙空間で暴れ回っている宇宙線 (cosmic rays) が、月面の特定の物質に照射されるとガンマ線を発する。この原理を基にして、分光計でガンマ線を計測し、月面上の物質 (元素) の分布を調べるのがこの実験であり、チタニウム (チタン) 、トリウム、鉄などの分布を調べることが出来た。 この実験はアポロ15号及び16号で行われた。 アポロ17号では Gamma-ray Spectrometer 実験は行われなかったが、同号ランディング・サイトのタウルス・リトロー (Taurus-Littrow) は、インパクト・ベイスン (巨大衝突盆地) として知られる晴れの海のちょうど縁に面しており、採取されたサンプル (特に玄武岩) にはチタニウムを豊富に含むものが多かった。 - - - - - ※ 2005年10月には、NASAより ハッブル宇宙望遠鏡による高精度紫外線観測で月面上広範囲に分布するチタン鉄鉱を確認できたとのリリースがあった。 |
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HST - Hubble Space Telescope, Ultraviolet to visible color ratio information, The color composite focuses on the 42km diameter Aristarchus |
アポロ15号及び16号で行われた Gamma-ray Spectrometer 実験 及び持ち帰ったサンプルなどから、月面上にはチタン鉄鉱=イルメナイト (FeTiO3) が豊富に存在するのではないかと予想されていたが、2005年10月、NASAより、ハッブル宇宙望遠鏡による高精度紫外線観測で月面上広範囲に分布するチタン鉄鉱を確認できたとのリリースがあった。 今回観測されたのは、アポロ15号・アポロ17のランディング・サイトと、不可思議な自然現象 (TLP /Transient Lunar Phenomena) で知られているアリスタルコス・クレーター (Aristarchus Crater /23.7N,47.4W) 及びシュレーター谷 (Vallis Schroteri /26N,51W) である。 これにより、未踏の聖地(?)アリスタルコスは、発光現象や火山現象 (クレーター周辺の外輪山に赤い灯がともる、ガスのようなものが噴出する) は言うに及ばず、鉱物=元素の面からも注目すべき存在となった。 - - - - - ※ アポロ17号のランディング・サイトであるタウルス・リトローは、およそ38億9000万年前に形成された 晴れの海 (巨大衝突盆地、インパクト・ベイスン) の影響を強く受けている地域である。 ※ アポロ17号が採取したサンプルは741サンプル (Total:111kg) にものぼったが、その大部分はチタン=チタニウムを豊富に含む玄武岩だった。 なお、アポロ17号で得られた各実験データから総合的に判断した結果、ランディング・サイト周辺には 1.0km〜1.4km の厚さの玄武岩層が存在すると予想された。 ※ チタン鉄鉱=イルメナイト (FeTiO3) から得られる二酸化チタンはチタニウムと酸素に分離可能であり、前者は機体や部品等に、後者は生命維持及びロケット燃料 (酸化剤) 等に活用できる。 ※ チタン=チタニウム (Ti) の大量精製に使う二酸化チタン (TiO2、酸化チタンと略すことも多い) は、以前はルチル (TiO2) が使われていたが、現在では、チタン鉄鉱=イルメナイト (FeTiO3) から酸化鉄 (FeO) を除去して得られる二酸化チタンを用いる。二酸化チタンは、顔料、化粧品、歯磨き粉などでも広く使われている。 ※ チタン=チタニウムは耐食性の強い軽量で丈夫な金属であり、特にその衝撃に強い特性から航空機、戦闘機をはじめとする軍需産業、そして宇宙開発分野で多用されてきた。その他チタンを使った一般的な製品としては、メガネフレーム、ゴルフクラブ、カメラ、あるいは携帯電話機などがあげられるが、意外な製品がチタン製であることに気づき驚かされることもある。 ※ チタン鉄鉱から得られる二酸化チタン (TiO2) の光触媒作用を用いることで空気浄化や殺菌及び消臭が行える。将来の月面基地・宇宙基地で必要不可欠な物質となることは間違いない。 |
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