__ APOLLO 12 (AS-507) TOP

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SATURN 01-10 AS 201 202 203 APOLLO 01 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17


Summary Cameras Lunar Surface Landing site Surveyor III Lunar Samples Science Experiment

時刻は EST (米東部標準時)

Mission type
H-type

Launch
November 14,1969;11:22:00 a.m.
1969年11月14日午前11:22:00)

Cape Kennedy (Canaveral)
LC-39 Pad A

Launch vehicle
Saturn-V
(S-IC/S-II/S-IVB/S-IU)

Payload (Spacecraft)
CSM-108 (Yankee Clipper)
LM-6 (Intrepid)

ALSEP
Apollo Lunar Surface
Experiments Package

Mission Commander
Charles "Pete" Conrad, Jr.

Command module pilot
Richard F. Gordon, Jr.

Lunar module pilot
Alan L. Bean

Translunar injection
November 14,1969;2:15;14 p.m.

CSM-LM docking
November 14,1969;2:48;53 p.m.

Lunar orbit insertion
November 17,1969;10:47;23 p.m.

LM's crews
Charles Conrad, Jr.
Alan L. Bean

CSM-LM separation
November 18,1969;11:16;03 p.m.

Lunar landing
November 19,1969;1:54;35 a.m.

Lunar Landing site
1. Ocean of Storms
(=Oceanus Procellarum)
(=嵐の大洋)

2. Mare Insularum
(=島の海 /1976年〜)

Landing Point / LM
Latitude: -3.01239 North
Longitude: -23.42157 East

Lunar surface EVA-1
November 19,1969;6:32;35 a.m.
4 hours

Lunar surface EVA-2
November 19,1969;10:54;45 p.m.
3 hours and 50 minutes
Total: 7hours and 50minutes

Lunar surface stay time
31.5 hours

Lunar samples
34kg (75 lbs)

Liftoff from moon
November 20,1969;9:25;47 a.m.

LM-CSM docking
November 20,1969;12:58;22 p.m.

LM Impact moon
20 November 1969
at 22:17:17.7 (UT)
3.94 S, 21.20 W

Lunar orbits
45orbits /89hours

Transearth injection
November 21,1969;3:49;16 p.m.

Duration
10 days, 04 hours, 36 minutes
(244hours and 36minutes)

Earth Splashdown
November 24,1969;3:58;24 p.m.

Depository

Eclipse of the Sun

 

Launch

1969年11月14日午前11時22分 (EST)、ケープケネディ Complex 39 Pad A。二回目の有人月着陸を目指すアポロ12号は、雷(稲妻)の洗礼を受けつつ打ち上げられた。雷 (稲妻) による船体のダメージも危惧されたが問題はなかった。そうであろう、アポロは太陽の神なのだから(Eclipse of the Sun/日食)。

クルーは船長のチャールズ・コンラッド、司令船パイロットのリチャード・ゴードン、そして月着陸船パイロットのアラン・ビーンである。

アポロ12号のランディング・サイトは、コペルニクス・クレーター(9.7N,20.1W、直径約107km)から南へ300kmほど行った位置にあり、さらに、地質学的な意味での最重要拠点フラマウロ・クレーター(Fra Mauro、6.0S,17.0W、直径約95km)からも150km程度しか離れていない。マテリアル(素材、地質)の見地からの分類では「嵐の大洋(Oceanus Procellarum = Ocean of Storms)」に属しているとされていたが、1976年に IAU(International Astronomical Union /国際天文学連合)が承認した「Mare Insularum(島の海)」というエリアこそが12号のランディング・サイトである。 →月面マップ月面イメージ を参照。

Moon map

上述の「嵐の大洋」は月面における最大の Mare(海)であり、地球から見た場合、月面の西側に位置している。西側は、この「嵐の大洋」をはじめとして、「Mare Insularum(島の海)/1976年〜」、「雲の海(Mare Nubium)」 、「雨の海(Mare Imbrium)」 、「湿りの海(Mare Humorum)」 などの、いわゆる下弦の月(東側=右側が欠けた月) でお馴染みの海たちが顔をそろえている。

今回の任務(探査・実験等)は、前回の11号に引き続き、ランディング・サイト周辺の地形・地質の調査、サンプル採取、月環境の調査及びその適応などであるが、特に、ピンポイント・ランディング(所定のランディング・ポイントに正確に着陸する)技術の習得や、ALSEP (Apollo Lunar Surface Experiments Package) を核とする各種実験、及び将来のランディング・サイト選定のための写真撮影などが注目される。

その他、1967年4月17日に打ち上げられた無人月面探査機 サーベイヤーIIIとの再会も興味深い。月面の過酷な環境下で2年7ヶ月を過ごした同探査機だが、機体・部品・その他 (?) がどのように変化しているのか、その調査・回収が待たれる。

Lightning Bolt

アポロ12号の打ち上げは、一歩間違えば大惨事になりかねないものだった。打ち上げ前からフロリダ半島上空に停滞しはじめていた寒冷前線が作用して、ケープケネディ周辺に雷(稲妻)を発生させたのである。雷(稲妻)は ランチャー(発射装置)付近を 直撃したが、幸いにも、それは離陸後36.5秒(アポロ12号は既に6000フィートの高度にあった)経過してからであり、船体に特に問題は発生しなかった。

打ち上げから11分43秒経過した時点でアポロ12号は地球周回軌道に乗り、S-IVBサターンV型ロケットの三段目)のロケット・エンジンに再点火して月を目指したが(地球の引力圏を離脱したが)、そのコース設定は、月をターゲットとした過去のミッション(アポロ8号10号11号)とは異なっていた。「嵐の大洋(今回のランディング・サイト)」に着陸するには、いわゆる自由帰還軌道(月周回軌道投入に失敗しても地球に戻ってこられる軌道)に乗らないようコース設定をする必要があったからである。

LM and ptolemaeus

月周回軌道に乗ったアポロ12号宇宙船(CSM、LM)は、二人の飛行士(チャールズ・コンラッド船長、アラン・ビーン月着陸船パイロット)がCSM(Command Service Module /司令船+機械船)からLM(Lunar Module /月着陸船)に乗り移って月面に降下していった。

プトレマイオス(Ptolemaeus /9.2S,1.8W /壁平原)、ハーシェル(Herschel /5.7S, 2.1W)、そして アルフォンスス(Alphonsus /13.4S,2.8W)などの有名どころをかすめながら徐々にランディング・サイトへアプローチしていく(右イメージ)。有人月着陸は11号に続いて二回目となるが、LM の自動誘導装置は的確に作動し手動操作で訂正するシーンはほんの僅かであった。

今回習得された正確なランディング技術(ピンポイント・ランディング)は、以降のミッション (J-Mission) に寄与するに違いない。さらに荒々しい、起伏の激しいサイト(それは科学的・地質学的見地からも興味深いサイト)へのランディングが可能となるからだ。

着陸後行なわれた、最初の月面 EVA(船外活動)では、フラッグ・セレモニー、太陽風捕獲実験、サンプル土壌(岩石)の採取などが4時間にわたって行われた。

TV camera

カラー・テレビジョン・カメラ によるライブ放送も期待されていたが、残念なことにカメラが故障してしまう。LM から月面上にカメラを移動する最中にカメラが太陽の方向(又は太陽の反射光の方向)を向いてしまったのがその原因である。何かの拍子に突如画面がブラックアウト(又はホワイトアウト)になったことを筆者もはっきり覚えている。当時は「見せられない場面かな?」と冗談で語ったりもしたが、この件については冗談ではすまされないような噂も存在していて、いまだに釈然としない。

その後、休息を挟んで2回目の EVAが行われる。行動範囲は延べ4300フィート (1311m)、時間にして3時間50分にも及んだ。

まず、二人の飛行士は地質学的見地から トラバース(縦走)を行い各種サンプル採取を行った。 トラバースは、いくつものクレーターに対して行われ、最終的にはトータル17.6kg のサンプルを得ることができた。後の分析で、採取した玄武岩や火成岩はアポロ11号で採取されたそれらよりも生成年代が数億年若いことが判った。

Surveyor III

飛行士がふと視点を移すと、そこには古ぼけた探査機が、まるでこちらを眺めるように存在していた。1967年4月に月面軟着陸を成功させた無人月面探査機サーベイヤーIII である。 LM のランディング・ポイントから僅か 600フィート(183m)の位置だっだ。

その当時の無人月面探査機(レンジャールナ・オービターサーベイヤー)は、アポロ計画をサポートすることがその主な使命であり、サーベイヤーIIIが、アポロ12号に先だって同じランディング・サイトに着陸していても不思議ではない。いわば、アポロ12号のパイロット船とみれば良いわけだ。

しかし、これを、「アポロ12号は、サーベイヤーIIIの調査・回収のために行われた」 とみる立場もある。主客転倒だ。サーベイヤーIIIの「使命」そのものに疑問を投げかけているのかもしれない。飛行士たちは、サーベイヤーIIIを綿密に調査してから部品その他(?)を回収したが、それらを地球へ持ち帰ったことで、新たな 論争 を巻き起こすことになる。

1969年11月20日 午前 9時25分47秒 (EST)、アポロ12号 LM 上部コンポーネント (上昇ステージ) は、下部コンポーネント(降下ステージ)を残したまま月面を後にした。今回の月面滞在時間はトータル 31.5時間にもおよび、その間に 34kg のサンプルを採取している。

月周回軌道上の CSM(司令船・機械船)と ランデブー した LM は、ドッキングの後、二人の飛行士が CSM に乗り移るのを待って最後の任務を遂行する準備を始めた。月面に 激突 することで人工地震(月震)を引き起こすのである(Passive Seismic Experiment)。

1969年11月24日 午後 3時58分24秒 (EST)、大西洋上に着水したアポロ12号 CM (司令船) は延べ244時間36分にもわたったミッションを無事終了した。

この時点で、次のミッション(アポロ13号)のアクシデントを予想した者は「殆ど」いなかった。

Cameras

cameras

70-millimeter Hasselblad EL Camera (70ミリ ハッセルブラッドELカメラ /電動)
司令船 (Command Module) が携えているカメラ。このカメラの特徴は独自のモータードライブ機構にある。バッテリーはニッカド電池。フィルムの巻き上げやシャッターは電動 (フルオートマチック) である。

70-millimeter Hasselblad Data Cameras (70ミリ ハッセルブラッド データカメラ/電動)
月着陸船 (Lunar Module) が携えているカメラ。セミオートマチック。60ミリのBiogonレンズ。なお、月面上のEVA (船外活動) で着用する 宇宙服 にもこのカメラがマウントされている。

16-millimeter Maurer Data Acquisition Cameras (DAC/16ミリ ムービーカメラ)
司令船が1台、月着陸船が1台、夫れ夫れ携えているカメラ。司令船が携えているこのカメラには、焦点距離 5ミリ、10ミリ、18ミリ、75ミリのレンズが、月着陸船が携えている同カメラには 10ミリの広角レンズが、それぞれ装備されている。重量は 130フィートフィルムのマガジン込みで 2. 8ポンドである。また、そのフレームレートは、1fps(オートマチック)、 6fps(オートマチック)、12fps(オートマチック) 、24fps(セミオートマチック) であり、シャッタースピードは、1/60秒、1/125秒、1/500秒、1/1000秒 である。

35-millimeter Lunar Surface Close-up Stereoscopic Camera
月着陸船 (Lunar Module) が携えている、立体撮影が可能なカメラ。モータードライブ機構はニッカド電池で駆動される。電子フラッシュ装備。

Film
-

Lunar Surface

Copernicus Crater

Copernicus crater

右のイメージはアポロ12号 LM(月着陸船)から撮影されたコペルニクス・クレーター(9.7N,20.1W、直径約93km、高さ1000m弱、深さ約3700m、中央の隆起は1000m以上の高さ)である。おそらく生成年代は今から10億年以内で、比較的新しいクレーターと思われる。

コペルニクス・クレーターは月面における最大規模の光条(距離にして800km以上)を放つことで知られていて、満月に最も際立つ。 右下のイメージは月周回軌道上のアポロ12号 CSM(司令船・機械船)から撮影された同クレーター。 ティコ・クレーター(43.4S,11.1W、直径約85km、深さ約4800m)ともども、目の離せない存在である。

Copernicus crater (2)

コペルニクス・クレーターは アポロ17号ルナ・オービター4号 でも撮影されている。

Alphonsus crater

Alphonsus crater

ハロー(後光)効果のかかったアルフォンスス・クレーター(13.7S,3.2W、直径約108kmの「壁平原」で中央部分が隆起している)である。 隣接する プトレマイオス・クレーター(Ptolemaeus crater、9.2S,1.8W、直径約153kmの「壁平原」)を含め、地質学的にも興味深いエリアではあるが、このクレーターを論じるならば「ガス噴出事件」 無視することはできない。 1958年11月3日、クリミヤ天文台はアルフォンスス・クレーターの中央付近からガスが噴出しているのを発見する。 撮影されたスペクトル写真には炭素分子の吸収帯が認められたのである。 後に、コールド・ムーンを通説とする学会において数々の論争を巻き起こす。 なお、赤い灯がともる現象についてはアポロ15号のアリスタルコス・クレーター(23.7N,47.4W、直径約40km)を参照のこと。

1965年3月には、無人月探査機 レンジャー9号 がアルフォンスス・クレーターの内部に激突した。同機は衝突寸前までテレビ信号を送信していた。

Ptolemaeus crater and Herschel crater

Ptolemaeus and Herschel

イメージ中央のクレーターがハーシェル・クレーター(Herschel crater、5.7S,2.1W、直径約41km、深さ約3750m)で、その右側に隣接する「壁平原」がプトレマイオス・クレーター(Ptolemaeus crater、9.2S,1.8W、直径約153km)である。イメージでは見えていないが、さらに右に行ったところにアルフォンスス・クレーターがある。

この周辺は、いわば「壁平原の巣」で、以上の他にも、アルバテグニウス・クレーター(Albategnius crater、11.2S,4.1E、直径約135km)、ヒッパルコス・クレーター(Hipparchus crater、Latitude:5.5 S、Longitude:4.8 E、直径約150km)、フラマリオン・クレーター(Flammarion crater、3.4S,3.7 W、直径約75km) などが散らばっていて壮観である。

アポロ12号 LM(月着陸船)も 着陸時にこの付近をかすめている

Gambart crater and Many crater chain

Gambart crater

イメージ下部の右端のクレーターが ガンバール・クレーター(Gambart crater、1.0N,15.2W、直径約25km、深さ約1000m)で、クッキリとした美しいシルエットが印象的である。

この周辺には数多くの「クレーターチェーン(クレーターの連なり)」があり、また、北の方角には、エラトステネス(Eratosthenes crater、14.5N,11.3W、直径約58km、深さ約3500m)とスタディウス(Stadius crater、10.5N,13.7W、直径約69km、深さ約600m)という好対照(不可思議)なクレーターコンビもあって、興味が尽きない。

1966年9月、無人月探査機 サーベイヤー2号 は、ガンバールC・クレーター(Gambart C /イメージ中央やや左寄りの二番目に大きなクレーター)の北東側に着陸している。ただしそれは、軟着陸ではなくエンジン故障による激突である。

Landing site

Apollo-12 Landing siteApollo-12 Landing site Traverse

Landing sites TOP Moon Map Clementine Moon image (Map)

アポロ12号のランディング・サイトは、多くの月探査機がこぞって標的とした、いわば「月探査の銀座コース(筆者が勝手に命名)」に属しており、Luna 5Ranger 7Surveyor 3、Apollo 12、Apollo 14 などがこのあたりを目指している。付近には「有名どころ」の地形が散らばっていて、地質学的な見地からも興味深いエリアである。

南へ300kmほど行った場所にある コペルニクス・クレーター(9.7N,20.1W、直径約107km)、東南へ150kmほど行った位置にあるフラマウロ・クレーター(Fra Mauro、6.0S,17.0W、直径約95km)、さらにそこから300km程先にある有名なクレーターチェーン(「Davy Crater Chain」)などが注目される。

アポロ12号 LM のランディング・ポイントに絞ってみると、その周辺には多数の小さなクレーターが存在するが、これらの殆どは微小隕石の衝突により出来たものと思われる。 この中で最大級のものがサーベイヤー・クレーターで、直径はおよそ200m。 アポロ12号 LM はこのクレーターの縁の部分にランディングした。以下が主なクレーター。

Head Crater
5 rocks and 2 fines

Bench Crater
6 rocks and 3 fines

Sharp Crater
Trench core tube sample (12027)
lunar environment sample (12023)
Gas analysis sample (12024)

Halo Crater
A double core tube sample
(samples 12025 and 12028)

Surveyor Crater
A total of 10 rock and 2 fines

Surveyor III

Serveyor III, LM, Earth

アポロ12号のランディング・ポイントからおよそ183m、「それら」はクレーターの縁でじっと待っていた。外観こそくたびれてはいたが、「それら」が特別な存在であることはかけ寄る宇宙飛行士たちの様子からも明らかだ。 慎重に (恐る恐る) 探査機にアプローチする宇宙飛行士、それを遠くから見守る月着陸船、なんともいえない表情?の地球。この構図はあることを語る。

宇宙飛行士たちはサーベイヤー3号のパーツ類その他を地球に持ち帰った。TVカメラと付属するケーブル類、サンプル採取用のシャベル、アルミのチューブなどである。そしてそれらは、地球環境に汚染されないよう細心の注意をもって管理・保管され、科学的、工学的、生物学的分析にかけられた。※

JSC Laboratory

担当した科学者たちは、アポロ12号が持ち帰ったサーベイヤー3号のパーツその他を念入りに分析し、カメラの内側に生物を発見する。Streptococcus mitis 。連鎖球菌というバクテリアである。

ある科学者はこう考えた。「それは、滅菌されずに打ち上げられたサーベイヤー3号に元々付着していたバクテリアであり、月面上で2年半生き延びて地球に持ち帰られた」と。

別の科学者は反証する。「他の部所にバクテリアの存在は認められない。カメラの内側にだけバクテリアの存在が認められたということは、すなわち、地球に持ち帰られた後に付着したバクテリアである」と。

どちらの見解も巧みに論点をずらしている。

筆者がこの部分の HTML を書いている今の日付は 1998年7月 であるが、今月、次のような趣旨のニュースを耳にした。「未知のバクテリア等が地球外から無防備な状態で持ち込まれないように、一種の宇宙検疫システムの確立を NASA に要請したい」

このニュースから

Surveyor III, LM's crew

(1) 地球外から(地球外の)未知のバクテリア(、生物)が頻繁に持ち込まれた (持ち込まれている or 持ち込まれようとしている)事実がある。 (2) 未知のバクテリア( 、生物)には、地球外を起源とするものと、地球を起源とした地球外で変異したものが含まれる。 (3) 過去、そのような未知のバクテリア( 、生物)に対する検疫は行われていなかった(or 行われていたが不十分だった)。 (4) 未知のバクテリア( 、生物)が原因の、治療法が不明の病が現実に発生している(or 発生しようとしている)

という可能性(あくまでも可能性)を読み取ることが出来るのではないか。

なお、旧ソビエトにおけるバクテリア関連はゾンド計画を参照のこと。

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※ 月表面の過酷な環境にさらされたパーツ類その他が、いわゆる宇宙風化を受けることは容易に予測できたにしても、さらにそれらが、後の時代に巻き起こるアポロ計画をめぐる非科学的な論争の有力な反駁材料となるとは思ってもみなかったのではないか。

Lunar Samples

Basalt 12008

Basalt 12008

このサンプルは、直径2cm、重さ58g の玄武岩である。玄武岩は溶岩が凝固したもので地球上でいえばハワイなどで見かける火山岩のようなものだ。主に輝石や斜長石からなっている。

アポロ12号で採取されたサンプル(岩石)は玄武岩が殆どだった(アポロ11号で採取されたサンプルは玄武岩と角礫岩が同程度の割合で含まれていた)。後の測定で、採取された玄武岩は約31億年〜33億年前の岩石であることが判明する。これは、アポロ11号のそれより5億年ほど若い。

また、アポロ12号のランディング・サイトから採取された玄武岩は橄欖石やチタン鉄鉱を含むものではあったが、アポロ11号のサンプルのようなチタン(チタニウム)を多量に含むものは見当たらなかった。この地域が赤みがかっているのは以上のことが原因かもしれない。


KREEP 12013

KREEP 12013

右は、直径5cm、重さ82g の KREEP と呼ばれる岩石である。アポロ12号のランディング・サイトから採取されたサンプルの中で最も特異な岩石といえる。なお、「KREEP」は単語ではなく頭文字の羅列である。「K」はカリウム、「REE」は希土類元素(Rare Earth Elements)、そして、「P」は燐である。つまり、「K-REE-P」。

この KREEP は月の歴史の中で「マグマ・オーシャン(magma ocean)」と呼ばれる時期に由来する。ドロドロに溶かされた溶解物が凝固して KREEP となったとされる。


Radish plant exposed to lunar material

Radish

月から持ち帰ったサンプルが植物(ハツカダイコン /Radish)にどのような影響を及ぼすかを調べる実験である。どうやら悪影響はなかったようだ。将来、月面基地の類でも建設されることがあれば、食物として、あるいは空気循環システムの一環として植物が栽培されることになる。月の土壌が植物に無害であれば何かと都合が良いわけだ。

Science Experiment

ALSEP(Apollo Lunar Surface Experiments Package)

ALSEP

ALSEP は月面上における各種実験装置群(パッケージ)で、セントラル・ステーション(Central Station)を核として、そこからケーブル類を介して各種実験機器(コンポーネント)へコネクトされている。いくつかの実験は飛行士たちが帰還した後も続行され、1977年9月まで地球にデータを送信していた。

ALSEP への電源供給は、フィン状(45度間隔で8枚)の外観が独特の原子力発電機(放射性同位元素発電機 /The Radioisotope Thermal Generator /RTG)によってなされ、実験及び地球との通信を可能としている。

RTG

原子力発電機 RTG については環境保護の観点から疑問を呈する声もある。

Passive Seismic Experiment

PSE

この実験は、月の地震(以下月震)を記録して、そのデータを地球に送信し、月の内部構造を明らかにするものである。アポロ11号、12号、14号、15号、16号 各ミッションで行われた。

人工的な月震を発生させるためにサターンV型ロケットの三段目(S-IVB)月着陸船の上部コンポーネント(Ascent stage)を月面に激突させる試みもなされた。アポロ12号、14号、15号、16号で実施されたPSEでは観測データを1977年9月まで地球へ送信している。※1

各サイトの地震計で構成される「ネットワーク」は、(1) 流星(500g〜5000kg)が1700回以上衝突したこと、(2) 月震の殆どは地下800km〜1000kmで起こること、(3) 月震は一ヶ月ほどのインターバルで発生していること※2、(4) 月震の大部分はマグニチュード2以下であること※3、 などを記録していた。

Seismometer

この実験から、(1) 月の内部構造が地球と同じように、地殻、マントル、中心核などで構成されていること※4、(2) 地殻は厚さが60〜70kmほどあって斜長石を多く含んでいること、(3) マントルは橄欖石や輝石に富んでいること、(4) 中心核は鉄や硫黄で構成されている公算が強く、その半径は450km以下で月の半径(1738km)の25%程度であること(地球の中心核は地球半径の54%ほどある)などが判明(推測も含む)したが、より正確を期すためにも、月の磁気レベルを計測する LSM(Lunar Surface Magnetometer)などの成果が待たれる。

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※1 アポロ11号のPSEにおいては、観測データは三週間しか地球に送信されなかった。
※2 それは、月と地球の間に絶えず作用している天体力学的なストレス(潮汐力など)が原因であると推測されていた。
※3 月が一年間に月震によって発散するエネルギーは、地球が地震によって発散するそれの1000万分の1程度である。
※4 地球のようなプレートテクトニクス(plate tectonics)※5 は確認されていない。
※5 地球の表面を覆うプレート状の硬い岩石が年間数センチメートルの速さで移動して、地震や火山活動を活発にし、造山運動を引き起こし、地表−マントル間の物質循環をも誘発しているとする理論。

Lunar Surface Magnetometer

LSM

実験パッケージ ALSEP に含まれている磁気計によって月における磁気レベルを計測するものである。月の中心核※は「地球のような(鉄などがドロドロに溶解している)中心核」ではないので、磁場などあろうはずもないと思われていた。しかし、計測結果によると、月においては、「地殻」に該当する部分に磁気を発生させる源があり、さらにそれには地域的な格差が存在することが判明した。

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※ 月にも中心核(直径約450kmで、鉄を含む)自体は存在するが、地球のような高温の核ではない。


Solar Wind Composition Experiment

SWC

太陽風は磁場を伴った電子や陽子を含む帯電粒子のプラズマ流で、地球の磁場に絶えず影響を与えている。磁気嵐やオーロラの発生は太陽風が原因である場合が多い。彗星の尾が出現するのも同様である。フレア(太陽面爆発)直後の太陽風は尋常ではなく 10,000個/1立方cm の粒子密度で飛び出してくる。

その太陽風を月面上で捕らえる実験が、アポロ11号、12号、14号、15号、16号 各ミッションで行われた。実験装置は 1.4m x 0.3m のアルミ箔のシートをポールに備え付けたもので、太陽の方角に向けられている。このアルミ箔シートを 77分 (11号)〜45時間(16号) 太陽にさらし、地球に持ち帰って分析する。月面上では、地球上のように磁場や大気層の影響を受けずに太陽風を捉えることができるのである。

アイソトープ(同位体)を分析してみると、ヘリウム-3、ネオン-20、ネオン-21、ネオン-22、アルゴン-36 などの存在が確認された。


Solar Wind Spectrometer Experiment

SWS

SWC(Solar Wind Composition Experiment)と同じく太陽風をターゲットにした実験だが、こちらの SWS(Solar Wind Spectrometer)は、アポロ12号と15号でのみ行われた。

太陽風は磁場を伴った帯電粒子のプラズマ流だが、それらの95%以上は電子や陽子で占められている。そして SWS は、太陽風スペクトロメーター(分光計)を使ってこれら陽子と電子(の動き)を捉えるのが目的である。計測は、異なる方向について数回行なわれたが、東の方向に向けた計測値が最も際立っていた。


SIDE (Suprathermal Ion Detector Experiment)

SIDE

この実験は、月表面の熱イオンを検出する実験で、月表面から帯電したイオンを検出すると共に、太陽風や地球の磁気との相互作用についても研究する。アポロ12号、14号、15号の各ミッションで行なわれた。

この実験で対象とされるのは、50電子ボルト(&秒速69km)以下のイオンで、それ以上の素粒子については、アポロ14号の Charged Particle Lunar Environment Experimentや、アポロ16号、17号の Cosmic Ray Detectorで研究される。

検出されたイオンの源は、(1) 太陽風、(2) 月の大気が太陽の紫外線でイオン化されたもの、あるいは(3) 流星体の衝突により放出されたガス、であると思われる。さらに、(4) 月面に激突した LM (月着陸船上部コンポーネント /ascent stage)やサターン・ロケットの第三段(S-IVB)の推進剤等も無視しえない。

イメージ中の大きな箱型の機器が SIDE。その左の小さな機器は CCG(Cold Cathode Gauge )のもの。


Cold Cathode Gauge

CCG

月の大気圧(分子数)を測定する実験である。月は非常に希薄ではあるが大気(気体分子群)を持っている。ただ、重力が小さい(脱出速度が小さい /月表面で秒速2.38km)ために大気が容易に宇宙空間に逃げてしまうのだ。月にとどまっている大気にしても太陽からの紫外線でイオン化されたり太陽風で飛ばされたりする運命にある。

この実験で計測された大気圧(分子数)は夜間で、1立方センチメートルあたり約200,000個の分子数である※。これは、地球の大気の 100,000,000,000,000分の1 にすぎない(しかしゼロではないのだ)。

この実験は12号、14号、15号で行われた。12号は短時間の実験であったが、14号と15号では月面に残された観測機器が1971年〜1975年まで観測結果を地球に送信していた。ただし、12号〜15号においては、月の大気の構成(気体の種別や割合等)までは観測されない。大気の成分・構成については17号の 「Lunar Atmospheric Composition Experiment」 を待つことになる。

イメージ中の大きな箱型の機器が SIDE で、その左の小さな機器が CCG(Cold Cathode Gauge )。

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※ ランディング・サイト周辺の大気には、LM(月着陸船)の降下用ロケット・エンジンや宇宙服等から排出されたガスも含まれている。


Soil Mechanics Investigation

SMI

月面の土壌を力学的にチェックし、それら土壌が人間の活動(動作)に及ぼす影響を調査するものである。月面着陸を行なった全てのアポロ有人月着陸ミッション(11号、12号、14号、15号、16号、17号)で行なわれた。チェックは、様々な器具(硬度計、ロッドなど)を使用して、いくつかの特性(硬度・強度、粒子密度など)について実施され、それに付随して、サンプル採取や写真撮影も行なわれている。

月表面の土壌は、10〜20cmぐらいの深さまでは容易にサンプリング・チューブを打ち込ませてくれるが、それ以上の深さとなると何らかの「技」を必要とする。例えば、70cm(これが最深)の深さまで打ち込むには、ハンマーで50回ほど叩く必要があった(アポロ15号、16号、17号では電気ドリルを使用できた)。

月表面の土壌は、微粒子状の細かい塵が堆積したようなもので、LM(月着陸船)の着陸時にはロケットの噴射で巻き上げられて雲のように辺りを覆い尽くした(全ての着陸シーンがそうだったわけではない)。さらに、これらの塵(のような土壌)には静電気を帯びたものもあって、宇宙服や実験機器などに張りついて飛行士たちをてこずらせた。

以上のような特性を持つ土壌ではあるが、LM、飛行士、実験機器、LRV(Lunar Roving Vehicle /月面車)を「埋没しない」程度には支えてくれた。もっとも、微粒子状故に「めり込み」は激しく、飛行士、各種機器、LRV(車輪)で1〜2cm、LM(フッドパッド)に至っては2〜20cm土壌にめり込んだ。


Lunar Dust Detector

LDD

月面に積もっている塵の層を研究する実験がアポロ11号、12号、14号、15号で実施された。LDD の実験機器は ALSEP(Apollo Lunar Surface Experiments Package)のセントラル・ステーション(核となる機器群)に含まれている。

アポロの有人月着陸以前は、かなりの量の塵が積もり層をなしていたと考えられていたが、実際に測定してみると、塵の層は予想されていた規模を遥かに下まわっていた。

この実験は、どちらかというと放射線や熱による太陽電池の劣化を調査することに主眼が置かれていた。いわば、科学よりも工学に寄与した実験といえる。



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__ Reference
National Aeronautics and Space Administration (NASA)
Kennedy Space Center (KSC)
Jet Propulsion Laboratory (JPL)
Goddard Space Flight Center (GSFC)
Johnson Space Center JSC Home Page (JSC)
National Space Science Data Center (NSSDC)
American Astronomical Society (AAS)
CHECKOUT and LAUNCH CONTROL SYSTEM PROJECT (CLCS)
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Writer : Masaaki Umehara
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